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商工ローン・信販・銀行との任意整理

(1)商工ローン業者との任意整理
商工ローン業者の中には、手形取引の形態をとっている業者や、みなし弁済の主張に固執する業者が多い。また、多数の連帯保証人が付いていたり、重要な資産を担保にとられているケースも多い。商工ローン業者との間での個別の対抗方法はあとで詳細に述べるが、多数の債権者の中に商工ローン業者が何社か含まれている場合の任意整理の処理方法には特別な配慮が必要である。

原則としては、商工ローン業者との間でも一歩も引くことなく、交渉が決裂すれば訴訟等で徹底して抗争することを辞さない姿勢が必要であるが、全体の返済源資に余裕がある場合、商工ローンの保証人等が一括支払に協力する場合、または早期解決によって生活再建や経営再建が促進される事情がある場合等は、商工ローン業者を除外して一般の貸金業者との関係でだけ任意整理を受任することもやむを得ない。ただし、商工ローン業者に対する支払によって一般の業者に対する返済計画の完遂に支障を来すようなことがあってはならないし、商工ローン業者にいったん支払うような場合でも、支払後適時に受任して過払金返還請求をなすなどの対応をするべきである。

(2)信販会社との任意整理
信販会社については、貸金に関しては貸金業者とまったく変わるところはないが、クレジット契約については、任意整理手続きに含めると所有権留保特約に基づき商品の返還を求められることになるので、自動車など通勤や営業に必要な商品のクレジット契約の場合、任意整理から除外せざるを得ない場合がある。自営業者の場合の機械器具など営業に必要な商品のクレジットも同様である。クレジット契約について任意整理に含める場合には、まず引き上げられた商品について適正な時価による評価を求めてこれを債務に充当させる。

その上で、契約当初からの取引履歴に基づき、利息制限法による引き直し計算を行って残元金を算出し、他の債権と同列に返済計画を立てる。クレジット契約については、利息制限法の適用を否定する裁判例があるが(名古屋地判昭六〇・二・八判夕五五四号二八一頁、東京地判平四・四・九金法一三五一号三七頁など)、任意整理案は返済困難・不能の場合の集団的な再建計画案であり、債権者の公平が重要な要素であること、多重債務者の生活再建・経営再建のためにはできるだけ負担を軽くすべきことなどから、利息制限法に基づく計算が正当化されるのである。

(3)銀行との任意整理
銀行については、もともと利息制限法の範囲内での貸金であるため、利息制限法を武器とした交渉はできないし、金融庁の検査も厳しく容易に長期分割にも応じてもらえないことから、任意整理手続きから除外する場合も多い。保証会社が付いている場合には、支払停止により保証会社が代位弁済した後に保証会社と分割交渉をすることで示談成立を目指す方が得策である。

(4)個人との任意整理
個人債権者を含む場合、その個人が債務者とどのような関係の者であるかによって、対応は区々であるが、個人の場合でも利息制限法を超過した貸付けをしている場合には、利息制限法引き直し計算をすることになるから、この点を個人債権者によく説明して理解を求める必要がある。